重要なお知らせ

区域切除

悪性腫瘍術後の予後改善や高齢化、さらには検診検査機器の精度向上などにより、様々な領域で第二癌・第三癌が発見されることも珍しくありません。
呼吸器外科領域も例外ではなく、近年は当院でも肺の再手術症例が散見されます。
肺のような容量依存臓器の場合、切除範囲は即ち患者さんのQOL(quality of life:生活の質)に直結するため、とりわけ再手術においては根治性とのバランスが肝要です。
一般的には肺がんに対しては肺葉切除が標準手術とされ、区域切除または部分切除は縮小手術の位置づけですが、区域切除の肺葉切除に対する非劣勢を証明する臨床試験が現在進行中であり、部分切除はさておき区域切除については準標準手術たりうる可能性があります。
このため当院では初発の小型肺がんに対してはもとより、対側肺への再手術に対してもQOL維持の観点から積極的に区域切除を行っています。
一方で同側肺の異時性多発肺癌場合にはさらに問題は難しく、癒着等の関係から残肺全摘となることも少なくありません。
この場合QOLの低下はさらに著しいため、機能温存と予後改善効果との間に慎重な術式選択を要します。

呼吸器外科