重要なお知らせ

呼吸器外科

概要

『全ての技術は最善最適な診療のために』

1930年代に始まった肺手術の主流は長らく開胸手術でしたが、1990年代後半に登場した胸腔鏡手術により状況は一変しました。
また2020年代からは、ロボット支援手術がその歴史を塗り替えようとしています。
しかし、新しい技術が本当に一番いい手術なのでしょうか?

いいえ 違います。

スイカを切るのに刺身包丁は不便ですし、菜切り包丁でアジをさばくのはずいぶんと難儀します。
手術もそれと同じです。
患者さんのコンディションや病気の状態ごとに最善最適な方法は違うのです。

大学病院でもなくがんセンターでもない一般病院ではありますが、当院では肺移植を除くおおよそすべての手術・処置が実施可能です。
その中から我々は、患者さん一人一人に最も適した手術方法を選びます。

あなたとあなたの病気に最善最適の手術がここにはあります。

『外科医一人当たりの手術数が本当の実力』

手術件数の多い施設は、もちろん手術や術後の管理が相対的には上手な病院です。
でもそれだけで本当の実力をはかることができるでしょうか?

いいえ 違います。

大事なのは外科医一人当たりの手術実施数です。
たくさんの外科医が在籍していると、当然のことながら一人当たりの手術経験数は格段に少なくなります。

当院ではわずか3名の呼吸器外科専門医がすべての手術をこなしています。
つまり当院の手術総数は、そのまま3名の医師の手術経験数になっているのです。

年間手術経験数が格段に豊富な呼吸器外科医がここにはいます。

診療理念

呼吸器病センターに属しており、すべての疾患を取り扱う上で呼吸器内科の医師と強い連携のもとに診療を行っています。

呼吸器外科領域の診療も基本的にはガイドラインに基づいて実施されますが、ガイドラインが全てではありません。自ら研鑽を積んできた豊富で貴重な臨床経験も大切に、それぞれの患者さんの状態に応じて最善の治療方法を提案し、優しく暖かく丁寧できめ細やかな治療を実施致します。
当院では創が小さい完全胸腔鏡下手術、胸腔鏡補助下の小開胸手術、開胸手術さらにはロボット支援下手術とあらゆる手術術式が可能であり、そのすべてを経験豊富な呼吸器外科専門医3名によって安全・確実に実施しています。
肺がん根治のための手術はあくまで胸腔内の繊細な操作が重要であり、がんの完全切除と手術の安全性(短い手術時間、少ない出血量)を最優先とすることを腫瘍外科学の理念としております。早期の肺がんに対しては完全胸腔鏡下手術(創3cm程度)、リンパ節郭清を必要とする肺がんに対しては胸腔鏡補助下手術(創7cm程度)やロボット支援下手術、気管支形成術や肺動脈形成術を必要とする拡大手術の場合には開胸手術と、がんの進行の具合や患者さんの全身状態にあわせて最適な手術術式を選択しています。

また、気胸や膿胸をはじめとした肺がん以外の呼吸器疾患の治療にも力を入れています。
肺がんの様にガイドラインなどに記載可能な病気と異なり、これらの疾患は患者さんの毎の差異が大きく、まさにオーダーメードの診療が必要となります。
これらについてもスタッフの豊富な経験に基づいて最適な治療方針を選択しています。

さらに気管や気管支が腫瘍などで狭くなり息苦しくなった状態の方に対しては、ステントと呼ぶ筒を挿入することで息苦しさや窒息を回避する手術「ステント治療」も行います。この手術で腫瘍を直接治すことはできませんが、抗がん剤や放射線への治療につなぐ時間を確保したり、終末期を過ごすうえでの苦痛を和らげることができます。

いずれの疾患や手術においても、手術後の患者さんが早期に社会復帰できるように、周術期リハビリテーションに対しても積極的に取り組んでいます。

診療可能な疾患

  • 原発性肺がん
  • 転移性肺腫瘍
  • 悪性胸膜中皮種
  • 肺良性腫瘍
  • 縦隔腫瘍
  • 胸壁腫瘍、胸膜腫瘍
  • 気胸(自然気胸、続発性気胸)
  • 膿胸、肺膿瘍
  • 肺感染症に対する外科治療(肺結核、非結核性抗酸菌症、肺真菌症 など)
  • 胸部外傷
  • 難治性胸水
  • 気管、気管支狭窄
  • 肺気腫、間質性肺炎など、びまん性肺疾患の診断・治療
  • 胸部異常陰影に対する精査・診断

肺がんドックのご案内

肺がんドックによるCT検査では、従来のレントゲン検査では見つけにくい早期の肺がんを、重症化する前に発見することが可能です。
詳細は動画または肺がんドックのページをご覧ください。

当院では肺がんCT検診認定機構の認定技師が在籍し、日本CT検診学会の推奨に基づき、最低限のX線線量でCT撮影を行っております。最小の被ばくで、安心してCT検査をお受けいただけるよう精度管理に務めております。また、肺がんドックにて行ったすべてのCTについて、肺がんCT検診認定機構の認定医師が責任をもって読影します。

当院で可能な手術・処置

アプローチ

術式

  • 肺悪性腫瘍に対する手術
    (標準術式である完全胸腔鏡下肺葉切除、胸腔鏡補助下肺葉切除+リンパ節郭清術、呼吸機能温存を目的とした区域切除などの積極的縮小手術)
    進行肺がんに対する拡大手術(心臓血管外科と協力しての拡大手術も実践しています)
    縦隔腫瘍に対する手術(胸腔鏡手術から周囲組織合併切除を要する拡大手術まで実施可能です)
  • 胸腔鏡下気胸根治手術
  • 膿胸および血胸に対する手術(胸腔ドレナージ・掻爬、開窓術など)
  • 胸部外傷に対する緊急手術
  • 肺気腫に対する肺容量減量手術
  • その他(胸腔鏡下肺/リンパ節生検、胸壁/胸膜腫瘍に対する手術、悪性胸水に対する胸膜癒着術)
  • 胸部異常陰影の精査/診断/治療方針の決定
  • 気道ステント

当院では肺移植を除くおおよそすべての手術・処置が実施可能です

専門研修基幹施設認定

2023年1月1日、新松戸中央総合病院呼吸器外科は、呼吸器外科学会の認定する呼吸器外科専門医専門研修基幹施設として認定されました。
この施設認定は、千葉県内では千葉大学医学部付属病院、国立がん研究センター東病院、東京慈恵会医科大学附属柏病院に次ぐ4番目の認定となります。
※2023年4月時点(呼吸器外科専門医合同委員会 基幹施設・関連施設一覧より確認)

専門研修基幹施設認定書

診療実績

疾患名 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
原発性肺がん 82 106 89 113 116 110 127
気胸 65 95 62 91 93 80 69
肺良性腫瘍 18 34 8 8 26 13 13
縦隔腫瘍 17 14 4 14 18 11 14
転移性肺腫瘍 11 10 8 12 7 8 7
膿胸/肺化膿症 11 24 13 14 17 24 13
胸膜/胸壁腫瘍 9 9 7 4 4 6 3
その他 30 30 47 23 16 32 29
243 322 238 279 297 284 275

担当医表

夜間・休日診療のご案内

呼吸器病センター(呼吸器内科・呼吸器外科)

受付時間 呼吸器外科【午前】7:30~12:00【午後】12:00~17:00

呼吸器内科【午前】7:30~11:00【午後】12:00~16:00

急遽、担当医が変わる場合がございますのでご了承ください。

女性医師

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午前

渡利 千夏

内科 非常勤

休診

外科 

中村 邦彦

内科

都島 由紀雄

外科

平澤 康孝

内科

田中 和子

内科

休診

外科

田中 和子

内科

休診

外科

中村 邦彦

内科

伊藤 祥隆

外科

休診

内科

休診

外科

午後

渡利 千夏

内科 非常勤

井村 阿耶

内科

都島 由紀雄

外科

平澤 康孝

内科

都島 由紀雄

外科

伊藤 祥隆

外科

休診

内科

休診

外科

担当医

内科

休診

外科

中村 邦彦

内科

伊藤 祥隆

外科

担当医表(PDF版のダウンロード)

所属医師

主任外科部長 呼吸器外科部長 
都島 由紀雄 (つしま ゆきお)

呼吸器病センター、呼吸器外科

主任外科部長・呼吸器外科部長の都島 由紀雄と申します。

当科では、肺がん、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍、気胸、膿胸、血胸、胸部外傷、びまん性肺疾患といった多岐にわたる胸部疾患に対し、安全性と専門性を兼ね備えた外科治療を提供しております。私自身、これまでに術者として2000例を超える呼吸器外科手術を執刀し、複雑かつ難易度の高い症例においても、一例一例に真摯に向き合ってまいりました。

スイス留学時代にチューリッヒ大学胸部外科では、世界的に高名なWalter Weder教授のもと、肺移植フェローとして欧州最先端の外科技術と診療哲学を学びました。この貴重な経験は、現在の診療における礎となっており、国際水準に即した質の高い医療を日常診療の中で実践できることは、外科医としての誇りであり、診療に向き合う姿勢の根幹を成しています。

2017年に設立された当院呼吸器外科は、確かな実績を積み重ね、2023年には日本胸部外科学会・日本呼吸器外科学会の合同委員会より「呼吸器外科専門研修基幹施設」の認定を受けました。これは、当科の診療レベルと教育体制が全国的に高く評価された証であり、2025年現在、累計手術件数は2200例を超え、国内でも有数の症例数を誇っております。

「一人ひとりの人生観や価値観に寄り添いながら、常に最良の治療を追求すること」、そして「卓越した医療技術と、心の通った対話を両立させること」を信念として診療にあたっています。どのような状況においても、ご本人とご家族にとって安心と信頼の源となる医療を提供することを、何よりも大切にしております。

健診で胸部の異常陰影を指摘された方、あるいは咳や息切れなどの症状でお悩みの方も、ぜひお気軽にご相談ください。胸部CT検査は呼吸器疾患の早期診断に非常に有用であり、当院では迅速かつ的確な診断に基づき、最適な治療方針をご提示いたします。

「ここで手術を受けて本当によかった」と心から感じていただけるよう、外科医としての責任と誇りを胸に、今後も研鑽を重ね、より良い医療の実現に力を尽くしてまいります。

専門・得意分野 呼吸器外科全般、ロボット手術、腫瘍外科学、呼吸器細胞診、デジタルパソロジー
略歴 名古屋市立大学医学部医学科卒業
資格・所属学会 医学博士
日本外科学会認定医・外科専門医・指導医
日本呼吸器外科学会呼吸器外科専門医・評議員
日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医・気管支鏡指導医・評議員
日本臨床細胞学会細胞診専門医・評議員
日本移植学会移植認定医
日本臨床外科学会評議員
日本がん治療認定機構がん治療認定医
肺がんCT検診認定機構肺がんCT検診認定医師
日本胸部外科学会正会員
欧州胸部外科学会正会員
国際肺癌学会正会員
臨床研修指導医
緩和ケア研修会修了
国立がんセンター 呼吸器外科 がん専門専攻課程修了
ダビンチ手術術者有資格者
日本呼吸器外科学会ロボット支援手術プロクター認定医
長崎大学情報病理学客員研究員
日本デジタルパソロジー研究会会員
その他 学会発表(国際学会のみ)
Yukio TSUSHIMA (primary presenter), Junya Fukuoka
“Presence of focal usual interstitial pneumonia is a key prognostic factor in progressive pulmonary fibrosis”
112th United States and Canadian Academy of Pathology annual meeting 2023, New Orleans, USA

Yukio TSUSHIMA (primary presenter), Kris Lami, Junya Fukuoka
“Recognition of two distinct variants of mucin-producing primary lung adenocarcinoma”
36th European Congress of Pathology 2024, Florence, Italy

Yukio TSUSHIMA (primary presenter), Kris Lami, Junya Fukuoka
“A Multinational Study on Two Distinct Variants of Mucin-Producing Primary Lung Adenocarcinoma Across Five Countries”
114th United States and Canadian Academy of Pathology annual meeting 2023, Boston, USA

論文(英文のみ)
Yukio TSUSHIMA, Ethan N Okoshi, Junya Fukuoka, et al.
“Presence of focal usual interstitial pneumonia is a key prognostic factor in progressive pulmonary fibrosis”
Histopathology 2024

呼吸器病センター長 呼吸器外科部長
伊藤 祥隆 (いとう よしたか)

呼吸器病センター、呼吸器外科

診療のモットーは「すべては患者さんのために」です。

専門・得意分野 呼吸器外科全般、胸腔鏡下手術
略歴 金沢大学医学部医学科卒業
資格・所属学会 医学博士
日本外科学会外科認定医・外科専門医・指導医
日本呼吸器外科学会胸腔鏡安全技術認定医
呼吸器外科専門医合同委員会呼吸器外科専門医
日本呼吸器内視鏡学会気管支鏡専門医・気管支鏡指導医
肺がんCT検診認定機構肺がんCT検診認定医師
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
ICD制度協議会ICD(インフェクションコントロ-ルドクタ-)
緩和ケア研修会修了
日本呼吸器外科学会評議員
日本臨床外科学会評議員
日本気胸・嚢胞性肺疾患学会評議員
日本胸部外科学会正会員
臨床研修指導医
ダビンチ手術術者有資格者