重要なお知らせ

水腎症

腎臓で作られた尿の通り道(尿路)が何らかの理由で狭くなっていたり、逆流したりすることで、腎臓の中に尿が溜まり、腎臓が腫れてしまっている状態を水腎症といいます。 近年は、妊婦健診で実施する超音波検査により、赤ちゃんがお腹の中にいる段階で水腎症が見つかるようになりました。出生前に水腎症が確認されるケースは、軽微なものも含めると100人に1人の割合といわれています。また、生まれた後に見つかることもあり、新生児期の超音波(エコー)検査のほか、乳幼児期に腹痛や腹部腫瘤、嘔吐、血尿、尿路感染による発熱などをきっかけに発見されることがあります。

水腎症の原因

小児の水腎症のほとんどは生まれつきの尿路の構造によるものと言われており、多くは次のように分類されます。

①腎盂尿管移行部狭窄

腎盂と尿管のつなぎ目が狭い、もしくは血管に押されて尿の通り道が細くなることによって引き起こされます。小児の水腎症の原因として最も多いものです。先天的な腎盂尿管移行部狭窄は男児に多く発症率は女児の2-4倍と言われています。

②膀胱尿管移行部狭窄

尿管から膀胱へのつなぎ目が狭いことで引き起こされます。腎臓だけでなく尿管にも尿がたまること(巨大尿管症)があります

③膀胱尿管逆流症

膀胱に尿が溜まるときや排尿するときに、膀胱と尿管のつなぎ目の逆流を防止する働きが悪くなることで、膀胱内の尿や尿管や内臓まで逆流する現象です。排泄されるはずの尿が尿管や腎臓に残ることで細菌が繁殖し、尿路感染症を引き起こすことがあります。1歳未満のお子さんでは男児に多く見つかりますが、それ以上の年齢になると女児に多くみられます。

その他、重複腎盂尿管なども水腎症の原因として挙げられます。

水腎症の検査と診断

水腎症は重症度に応じて検査や治療方針が異なります。

超音波(エコー)検査

診断の基本となる検査です。腎臓の形や大きさ、腎盂(おしっこの出口)の広がり具合、尿管の拡張などを観察します。超音波検査をもとに国際的に広く用いられているSFU分類を用いて水腎症の重症度をグレード1~4で判定します。

グレード1~2 経過観察で様子を見ることが多い段階

軽度の拡張が見られる状態です、多くは成長と共に自然軽快します。定期的なエコー検査で経過観察を行います。

グレード3~4 詳しい精密検査をお勧めする段階

腎臓や尿路に尿が溜まり大きく膨らんでいる状態です。腎臓の機能に影響があったり、尿路感染症を引き起こしたりするリスクが高まるため、さらに詳しい検査を行うことがあります。

核医学検査 

腎シンチグラフィで腎臓の働きや尿の流れなどを見ます。 ※腎シンチグラフィが可能な他医療機関で実施します。

排尿時膀胱造影(VCUG)

水腎症の原因として膀胱尿管逆流症が疑われる場合に行います。膀胱に造影剤を入れ、レントゲンで見ながら尿がどこまで逆流するかを、逆流の強さを測るVUR分類に基づき1~5段階で評価します。

水腎症の治療

水腎症は原因と重症度によって治療方針が異なります。 症状や腎機能の低下がない場合は、尿検査と超音波検査で経過観察を行います。

腎盂尿管移行部狭窄

腎盂と尿管のつなぎ目が狭くなっているところを切除し、腎盂と尿管をつなぎ直す手術(腎盂形成術)を行います。当院では後腹膜手術アプローチで行います。

膀胱尿管移行部狭窄

狭窄が起きている尿管と膀胱を切り離し、尿管と膀胱内の別の場所につなぎ直す尿管膀胱新吻合術を行います。

膀胱尿管逆流症

内視鏡的注入療法(デフラックス注入療法)

尿道から膀胱鏡を入れて、膀胱と尿管のつなぎ目にデフラックスというゼリー状の薬剤を注入します。膀胱への入口補強することで、膀胱から尿管へ尿が逆流しないようにする治療です。膀胱鏡を用いた手術のため、体の表面に傷は残りません。VURのグレードがⅡ~Ⅳのお子さんが対象となります。

尿管膀胱新吻合術

逆流が起きている尿管と膀胱を切り離し、尿管と膀胱内の別の場所につなぎ直します。

水腎症治療Q&A

妊娠時のエコー検査でお腹の中の子どもが水腎症かもしれないと言われました。出産後、いつ病院を受診すべきでしょうか。

なるべく生後1か月以内の受診をおすすめしています。出産後、お母さんと赤ちゃんの体調が落ち着いてからで構いません。出生後に超音波検査を行い、水腎症がまだあるかどうかや腎臓の状態、また他の合併奇形がないかどうかを確認します。

手術が必要となった場合、生後何か月から手術が可能ですか。

手術の時期は状態によって異なりますが、多くは1歳以降で行います。出生後の検査で腎臓の状態を確認し、経過をみながら手術の時期を決めます。

手術にかかる時間や入院期間を教えてください。

手術の方法によって、手術時間や入院期間は異なります。

●腎盂形成術の場合
 手術時間:3~4時間
 入院期間:1~2週間程度

●デフラックス注入療法の場合
 手術時間:約15分
 入院期間:3~4日

※実際の手術時間や入院期間は、お子さんの状態や術後の経過によって多少前後することがあります。

退院後はどれくらいのペースで通院が必要ですか。

退院後は、次のようなペースで経過を確認します。
・退院後1~2週間
・その後1~2か月後
・さらに3~6か月後
その後は、お子さんの状態や検査結果をみながら通院間隔を調整していきます。

検査の結果、手術は必要ないが経過観察が必要と言われました。何歳まで通院が必要ですか。

水腎症の程度にもよりますが、15歳くらいまで経過をみていくことがあります。その場合は、1~2年に1回程度、超音波(エコー)検査で腎臓の状態を確認します。

子どもの水腎症は治りますか?

多くの場合は自然に改善します。また、治療が必要な場合でも、手術などの適切な治療によって治すことができます。お子さんの状態に合わせて、しっかりと診療していきます。

小児外科